・はじめに
このデッキはいわゆるフェアデッキに強いとされるフェアデッキです。青くないため当然アンフェアなデッキには弱く、ストームコンボ・SnT系どちらにも不利です。
反面、クロックによってこちらのライフを0にしようとするデッキには滅法強く、特にもみ消しの無いデッキ、基本土地の無いデッキ、地上クロックしかないデッキなど、そういった要素を含むデッキに対しては有利だと言えるでしょう。

・サンプルリスト
14
4:《老練の探険者/Veteran Explorer》
2:《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》
1:《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1:《永遠の証人/Eternal Witness》
1:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
1:《ウッド・エルフ/Wood Elves》
1:《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1:《強情なベイロス/Obstinate Baloth》
1:《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》
1:《原始のタイタン/Primeval Titan》

22
4:《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
3:《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
1:《思考囲い/Thoughtseize》
4:《燃え立つ願い/Burning Wish》
3:《突然の衰微/Abrupt Decay》
3:《破滅的な行為/Pernicious Deed》
4:《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》

24
4:《Taiga》
4:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
3:《Badlands》
2:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2:《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》
1:《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》
1:《Bayou》
3:《森/Forest》
2:《沼/Swamp》
2:《山/Mountain》

サイドボード
2:《赤霊破/Red Elemental Blast》
1:《無垢の血/Innocent Blood》
1:《紅蓮破/Pyroblast》
1:《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
1:《紅蓮地獄/Pyroclasm》
1:《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
1:《毒の濁流/Toxic Deluge》
4:《殺戮遊戯/Slaughter Games》
1:《風景の変容/Scapeshift》
1:《虐殺/Massacre》

1:《強情なベイロス/Obstinate Baloth》

先日の五城楼杯でボブくんが使用したリスト。
赤字はデッキ内の山で、青字はwishボードのカードです。
以前は3枚目の赤ブラストの枠が外科的摘出でしたが、ここ何回かの対戦を通して外科的摘出をサイドインするマッチが全く無かったので現在のようなリストになりました。ドレッジやリアニメイトのことを考えるなら、殺戮遊戯の2~4枚目を外科的摘出や各種墓地対策カードに変えた方が良いでしょう。

・各カードの役割
このデッキの核は間違いなくベテランで、これをセラピーのFBで生け贄に捧げながら相手のハンドを奪い(相手がデュアランデッキなら)こちらだけマナを伸ばし後続の高カロリーカードに繋げて勝利するというのが基本的なゲームプランです。
しかしここで正しく理解してほしいのは、「自分だけ土地を伸ばせる」からベテランが強いのではなく、「自分だけ土地を伸ばせてしまうので相手の地上クロッカーが殴れなくなる」ことこそがベテランの真の強みであり役割であるということです。相手の場にタルモがいてもベテランがいるなら衰微はデルバーや死儀礼へと温存することができますし、セラピーとベテランが揃ってもベテランとタルモが睨みあっている状況であるなら必ずしもFBでサクることが正しいプレイとは限りません。
特にセラピーはこちらのビッグプレイの前方確認のために温存するケースもありますし、相手のカードが見えた(SFMや銀エラ、マトロンなど)からと言って撃つのではなく、そのセラピーが本当に必要なのかをしっかり見極めることが重要です。
他のクリーチャーは概ね役割に応じてゼニスで引っ張る用の1挿しカードばかりですが、桜族の長老はベテランがサイドアウトされるマッチで安定して土地を伸ばすために2枚採用されています。独楽があるときは即起動で土地を持ってくることをせず、トップのリフレッシュ用に温存することも大事です。勿論マナジャンプに意味があるハンドであれば積極的にランドに変えましょう。
wishボードに関しては殆ど用途のはっきりしたカードばかりなので特に説明は必要ないでしょう。何かあれば個別に聞いてください。

・テクニック?
ヴァラクートの挙動について。
Valakut, the Molten Pinnacle / 溶鉄の尖峰、ヴァラクート
土地
溶鉄の尖峰、ヴァラクートはタップ状態で戦場に出る。
山(Mountain)が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたが他に少なくとも5つの山をコントロールしている場合、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。あなたは「溶鉄の尖峰、ヴァラクートはそれに3点のダメージを与える」ことを選んでもよい。
(T):あなたのマナ・プールに(赤)を加える。

これは簡単に言ってしまえば、これがある状態で6枚目以降の山を置くと対象に3点が飛ぶという能力です。複数の山が同時に場に出たときのことを考えると、例えばヴァラ山4という場に山が2枚同時に出た場合、その2枚の山はそれぞれ5枚目であり同時に6枚目の山でもあるのでそれぞれ誘発、合計で2回誘発します。 これが風景の変容でのパターンになれば、6枚それぞれの山は1枚目であり2枚目…そして6枚目でもあるのでそれぞれ誘発、合計6枚全てについて誘発します。
またこの能力はif節なので誘発時・解決時両方に場に出た山から見て他に山が5枚以上あるかをチェックします。当然解決時に条件を満たしていなければ能力は何もしません。
よって、風景の変容によって場に出たヴァラクートを不毛で割ることは無意味ですが、ちょうど山6枚を持ってくるパターンであったならば、山Aを不毛で割ることで山BCDEFについての誘発は不発にすることができます(山Aから見て山は5枚あるので山Aについてだけは誘発します)
*メモ*
風景の変容のダメージ計算について
-土地7枚:ヴァラ山6枚で6回誘発18点
-土地8枚:ヴァラ山7枚で7回誘発21点 or ヴァラ2山6で12回誘発36点
-それ以上:いっぱい

・プレイング
このデッキはレガシー環境の中で最も遅いボードコントロールデッキの1つで、なんとあのトリコ奇跡よりも遅いデッキとして振る舞うことができます。
なので基本的なゲームプランはこちらが負けないように相手を全力で妨害することと土地を伸ばすことで、一定枚数の土地が並んだら前方確認→wish変容、もしくはゼニスからタイタンを呼んでヴァラ噴火かケッシグの援護を受けてビートダウンし切るというものになります。
ボード以外への干渉はあまり得意ではありませんが、生物による壁、衰微やdeed、wishボードからの多様なマスデスとボードの処理能力は極めて高いと言えるでしょう。
相手の盤面に合わせてそれらのカードを集めながら、同時に土地を集めるためにも独楽はこのデッキの生命線です。

・サイドボーディング
上でベテランについて書きましたが、例え相手が基本土地を持ってこれないデッキでも「StPで誘発しなかったりそもそもクロック(ネメシス)が止まらない」パトリオットなどにはベテランは積極的に抜きます。 ちょうど3枚抜いて赤ブラ3枚(1枚はゼニス用に残す)と入れ替えるのが良いでしょう。奇跡に対しても相手の土地が伸びて天使!とやられるとキツいので、ベテランは減らして桜族などで自分だけマナ加速するようにします。
また、ハンドや盤面次第ですが、ドロースペルには積極的に赤ブラストを当てましょう。勿論相手のカウンターをカウンターしたり、デルバーやジェイスを除去/打ち消すために入れているカードですが、ドロースペル(特にブレインストーム)を消すことで相手の速度が下がるのであれば、それが正解になることもある、ということを覚えておきましょう。特に殺戮遊戯を撃つためのターンを稼ぐ場合は正当化されるケースが多いです。

・殺戮遊戯
最近そんなエントリーを某エルフ使いのDNで見たような気が…
まず気をつけなければいけないことは、当然ですが「殺戮遊戯を撃つだけでは勝てない」こと、そして「自分より遅い相手に撃ってはいけない」ことです。このデッキの場合後者について心配することは殆どないですが、一応。
さてこれを撃つ相手は、「こちらよりゲームスピードが速く(大抵はそう)、勝ち手段をいくつかに絞っているデッキ」と、殺戮遊戯本来の使い方「撃たれてはいけないキラーカード(大体は大変動)を撃たれる前にライブラリーから引っこ抜かなければならないデッキ」です。
ANTにはTendrilsをコールしますし、スニークショー相手にはエムラとグリセルをコールするのがゲームの目標となります(概ねエムラクールからコールするのが正しいと思います)。デスタクのクリーチャーを捌くカードは十分にあるので、こちらの負けの目を潰すためにも殺戮遊戯を撃ちます。
奇跡に対してコールする対象はいくつかあり、それぞれ優先順位は盤面やハンドの状況と相談して決めることになります。deedが通る算段が無いなら天使への願いを抜いてゲームをスローダウンさせ、赤ブラストが無いならヴェンディリオンやジェイスを抜いて相手の能動的なアクションを潰します。こちらが仕掛けられる盤面ならカウンターを抜くこともあり得るでしょう。
逆に、殺戮遊戯の対象以外に勝ち筋が沢山あるデッキに対して殺戮遊戯を撃ってはいけません。例えば、BUGデルバーの墓忍びはこのデッキでは非常に対処しにくいですが、それを殺戮遊戯することはありません。何故なら、場に出ていない墓忍びの対処よりも先に、既に場に出ているデルバー死儀礼タルモの処理を優先するべきだからです。序盤の猛攻を凌ぎ、土地が十分に伸びた後なら墓忍びを無視してゲームに勝つこともできますし、wishボードから如何様にでも処理できます。
繰り返しますが殺戮遊戯は「負けないためのカード」であり、「撃ったら勝ちなカード」ではありません。用途を見誤ることなく適切な相手に適切なコールを心がけましょう。

・さいごに
回すのは簡単と常々豪語しており、実際難しい部分は少ないデッキだと思いますが、さすがにデッキ内の山の総数が分からんwishボードも分からんな人や、そもそもヴァラクートの挙動を知らないような人に「これ簡単だから回してみ。因みにこれ使って入賞しないとギルティだからね(煽り)」と言うのはさすがに無茶ぶりがすぎるなぁと反省して、最低限のデッキ解説を書くに至りました。
ちなまだ入賞率100%は継続されている模様。さすがにそろそろすごいなw
個別のデッキへの色々について解説が必要な方はその旨をコメント下さったら個別編書くかも。書かないかもw

コメント

kazi
2014年7月29日21:12

解説記事お疲れ様です。五城でよく見かけていながら今回まで対戦したことがなく、理解が不十分だったので非常に勉強になりました。Nic Fit強い(確信

蔦
2014年7月30日10:35

勉強になります!ありがとうございます!
これを待ってました!

渦巻く相殺@Lv.21
2014年7月30日12:59

対サンドポイズ戦が気になります。  私気になります!!!

へび
2014年7月30日14:29

はじめまして。
ヴァラクート型のNicFit探していたのですが個体数自体が少なく、
細かい枚数が分からないといったところでしたので解説は嬉しいです。
リンクさせて頂きます。
よろしくお願いします。

猫沼ゴイフ
2014年7月30日17:11

これ使って8残れないやつとか一人しかおらんやろwww
おらんやろ…

Pシュート@野獣先輩の中の人
2014年7月30日17:45

自分は前回、前々回とほぼこのデッキでとドレッジを踏んでいるんですが、それは
そもそも摘出2枚入れた程度じゃドレッジには勝てないってはっきりわかんだね

VM
2014年7月30日18:55

>kaziさん
相手の理解度の低いところを突くデッキなのであまり書きたくないなーと思ってたんですが、さすがにこんだけ五城楼常連なら内緒もクソも無いかなーとw
Nic Fit、コンボさえ踏まなければいいデッキですよ

>蔦さん
意外と待たれてた説
ほんとに基本的なことばかりですがお役に立てれば何よりです。

>まきまきさん
deedで頑張ってください!終わり!

>へびさん
自分も色々リストは漁ったんですが兎に角ユーザーがいないので苦労しましたw
このリストはけっこうBG系を意識してるのですが、やはりコントロールデッキですので地域のメタに合わせたチューンが必要だと思います。もしご使用の際はお気を付けください。

>お兄やん
うそだろ承太郎!(ゲス顔)

>先輩
じゃあやっぱり殺戮遊戯でいいじゃないか(池沼)

カッツ
2014年7月30日22:58

フリプを見てたら独楽くんと狩猟者くんの仲の良さに失禁しそうでした

VM
2014年7月31日0:55

>カッツ神
せやろ
狩猟者くんは疑似ドロー能力もライフゲインも強いし、タフ4が自分のマスデスと相性良かったりケッシグのパンプ先としてすっげー優秀だゾ
衰微で割られると相手のタルモがクッソでかくなるけど、ま多少はね?
VM

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